近ごろメジャーな立会い出産。
出産のカタチとして、まず最初に検討することではないでしょうか。
先に実際に出産に立ち会った友だちの「大感動!」という話を聞いて、うちも出産を夫婦で分かち合えたらいいな、それによく知らない医師や助産師さんばかりより夫がいてくれたら心強いし……とぼんやり思っていました。
だけど、うちの夫は血が大の苦手。
他人の出血を見ただけで、貧血を起こすほどです。
そんな夫に、血の道である出産の立会いを無理強いすることはとてもできず、立会はナシの予定にしていました。
立会いはなくても、陣痛がきたら一緒に産院へ行き、陣痛の波につきあって、ひと晩中わたしの尾てい骨をひたすらグリグリ。
(テニスボールがなかったのでゴルフボールを持参したらゴリゴリ痛くて失敗。結局指で押してもらいました。)
そして、いざ分娩室へ。
予定通り、夫は廊下で待機。
駆けつけてくれた母が、かわりに分娩室にいてくれました。
出産が佳境に入ったように思われたとき、「もう生まれるから」とあまり事情を知らないうちの母は、親切心からか、夫にバトンタッチを宣告。義理の母からの有無を言わさない申し渡しに、夫は予定外に、(おそらく)おずおずと分娩室に入ることになりました。
ところが、それから出産が難航!
夫は分娩台からはるか離れた扉付近から遠巻きに見守っていましたが、義理の母の前情報とは違って、ただならぬ雰囲気に緊張したことと思います。
いきんでもいきんでも、なかなか出てこない赤子。固唾を飲んでわたしを取り囲むお医者さまに助産師さん。一睡も眠ることなく陣痛に耐え、もはや体力の残っていないわたし。もうダメだ…!そう思ったとき
「がんばれ!」「がんばれ!」
と叫ぶ夫の力強い声が遠くから聞こえてきました。
「がんばらないと…」夫からの応援に勇気づけられ、わたしはもう一度力をふりしぼりました。
あのとき、わたしがもうひと息がんばれたのは夫の応援の声のおかげ。ちょっと遠くからではありましたが、わたしにとっては充分でした。
たとえ少し離れていても、その場にいるといないかでは大違い。
夫のように血が苦手だったり、出産する姿を夫にあまり見られたくない奥ゆかしい方も、3メートル離れていれば大丈夫かも。
立会い出産、おすすめです。